電気工事士の資格を取得すれば仕事に従事できます。
ただし、電気工事士が付ける仕事の種類は資格によって異なるため、注意しましょう。
本記事では、上記の疑問を解決します。
電気工事士が従事できる仕事の幅は主に2種類あります。更に細分化してみると種類は多くあるため、電気工事士の需要が多いことが分かります。電気工事士の求人は毎年増加していますよ。
上記を深掘りして解説します。
電気工事士がどういった仕事をしているのか知りたい方は、必見です。
本記事の内容
- 電気工事士の資格取得後に就ける仕事について
- 電気工事士における仕事の種類と仕事内容
- 電気工事士の需要は毎年増加している
上記の3本立てです。
電気工事士の仕事が職場ごとに厳しさが違う話なんかも一緒に解説します。
さっそく、見ていきましょう。
本記事の信頼性
本記事を書いている僕は、電気会社経験済みのブログ歴2年です。
電気の資格を複数取得しており、案件を50件以上受注しています。
電気工事士の資格取得後につける仕事について
電気工事士の資格で従事できる範囲は決まっています。
- 一般用電気工作物
- 自家用電気工作物
一般的にこの2種類の仕事に該当します。
第一種電気工事士を取得すると、施工できる範囲に困らないですが、第二種電気工事士でも十分に働くことはできます。お互いの特徴をチェックしていきましょう。
一般用電気工作物
一般用電気工作物は、次の設備が該当します。
上記のとおりです。
赤字で記載されている部分だけ覚えていただけたらOKです。皆さんが生活している「一般住宅」が代表的な一般用電気工作物です。
第二種電気工事士以上の資格を取得すると、このような設備の施工・工事に従事することができます。軽い修理であれば、自分でもできるので便利な資格です。
自家用電気工作物
自家用電気工作物は、次の設備が該当します。
上記の写真のような電気設備があれば、自家用電気工作物以上であることは確定です。
- 最大電力500kW未満の高圧受電設備
- 小出力発電設備を除く発電用の電気工作物(発電所)。またその電気工作物と同一の構内に設置するもの。
- その構内以外の場所にある電気工作物と、受電用電線路以外の電線路で電気的に接続されているもの(変電所、開閉所など)。
- 爆発性や引火性のものが存在するため電気工作物による事故が発生する恐れの多い場所に設置するもの。
- 火薬取締法第2条第1項に規定する火薬類(煙火を除く)を製造する事業場。
- 石炭鉱山保安規則の適用を受ける鉱山のうち、甲種炭鉱または防爆型機器の使用が義務付けられた乙種炭鉱。
難しいですね。すみません。
これも、赤字の部分だけ覚えていただけたらOKです。あとは、スルーしていただいて必要に応じて覚えるようにしてくださいね。
皆さんの身近な建物を例に出すと、
- 工場
- ビル
- 病院
こういった建物が該当します。
”高圧の電気設備になると一般用電気工作物ではなくなる”とだけ考えていただけたら大丈夫です。今は、無理に全部覚える必要はありません。
電気工事士の仕事の種類について【2種類】
電気工事士の仕事の種類についてです。
- 鉄道電気工事士
- 建築電気工事士
大きく分けてこの2種類の仕事になります。
電気工事士と聞けば、建築系のイメージが強く思われがちですが、鉄道系の電気設備でも活躍しています。
どんな感じの仕事が細かく深掘りしていきましょう。
鉄道電気工事士
その名の通りです。
日本の鉄道に関係する電気設備を施工・工事する仕事になります。
- 変電設備の施工・工事
- 駅に設置してある電気設備の施工・工事
- 線路などの電気に関する施工・工事
この3つを総称して「鉄道電気工事士」と呼んでいます。
変電設備の施工・工事
変電設備とは「電気の大きさを変える設備」のことです。
電車は、電気で動く乗り物です。
しかし、供給された電気をそのまま使用すると、電圧の大きさが適切でないために不具合が発生します。
そこで、変電設備の登場です。
変電設備を用いて電車に適した電気の大きさに変えることで、安全かつ効率的に電気を供給し、使用することができているわけです。
その”変電設備”に関する施工・工事を行っています。
駅に設置してある電気設備の施工・工事
駅に設置してある電気設備は次のものを言います。
- 電光掲示板
- モニター
- 改札
- 照明
- 空調設備
こういった電気設備は定期的に点検が必要です。
また、不具合が発生した際には即座に修理が必要になります。
このような、駅内の電気設備のメンテナンスを取り扱う仕事になります。
線路などの電気に関する施工・工事
電車の上には”パンタグラフ”と呼ばれる通電設備を設けています。
通電設備の名称については、覚えなくてOKです。大事なのは、電気をそこから供給しているという部分になります。
- 通電設備
- 電車に合図する信号
- 線路上に設置している電気設備
こういったメンテナンスも取り扱います。
電車は、電線に電気を通して供給しているため、こういったメンテナンスは人目につきにくいですが、非常に重要な仕事となっています。
建築電気工事士
建築電気工事士は、割と目にする電気工事士です。
住宅や工場・ビルといった建物の施工・工事を行う仕事になります。
- 屋外・屋内の配線工事
- 冷暖房設備(エアコン・空調機)の工事
- ビル管理・工事
これら3つを総称して「建築電気工事士」と呼んでいます。
屋外・屋内の配線工事
1番目にする電気工事士の仕事です。
電柱の上とかで作業している姿を時々目にすると思います。
- 電気器具の接続
- ケーブル配線工事
行っている作業はこの2つが中心です
ただ、取り扱う電圧が低圧~高圧と幅広いため、工事する電気設備の大きさによって危険度が大きく変わってきます。
また、高圧になってくると高所での作業も増えてくるので体力仕事となることが多いです。
一般的な電気工事会社であれば、この仕事を取り扱っている会社がほとんどですね。
冷暖房設備(エアコン・空調機)の工事
仕事の内容としては、凄くシンプルです。
誰かが購入したエアコンを電気屋さんとして設置する仕事になります。
- 家電量販店でエアコンを購入する
- その下請けの電気屋さんが、古いエアコンを取り外し、新しいエアコンを取り付ける
- 定期的にクリーニングを行う(リビングは年1回、寝室は3年に1回)
このような流れで仕事を行います。
電柱に昇降したりすることがないので、筋力が必要なのは”エアコンを運ぶとき”ぐらいです。
ビル管理・工事
ビルを安全に使用するための「何でも屋さん」がビル管理の仕事です。
- 電気設備
- 水道設備
- 空調設備
- 自動ドア
- ポンプ
- エレベーター
- エスカレーター
- ボイラー
このように、取り扱う設備は多種多様です。
そのため、この仕事に関しては、電気工事士の資格だけでは補えないことが多いです。
- 電気工事士
- 消防設備士乙6
- 消防設備士甲4
- ボイラー技士
こういった資格も取得しておくことで仕事に就けます。
どの資格も、凄く難しい資格ではないので狙ってみるのも全然ありですよ。
電気工事士の仕事は職場で厳しさが違う話
電気工事士の仕事は、職場によって厳しさが違います。
- 夏は現場が暑く作業が大変
- 作業時間が限られている
- 電気機器、電気材料が重たく搬入が大変
仕事によってはこれらを経験することでしょう。
また、お客さんの影響を受ける分野も大変です。
「営業時間外で工事して欲しい」「休日に工事して欲しい」といった要望から休日出勤を余儀なくされることもあります。
ここでは、電気工事士の中でも比較的”気が楽な仕事”と”ハードな仕事”の2つを見ていきましょう。
電気工事士で楽な仕事とつらい仕事
楽な仕事
1番気が楽なのは「エアコン工事」です。
- エアコンの配送
- エアコンの取り付け
- エアコンの取り外し
- エアコンのメンテナンス
これらがメインの仕事になります。
他の仕事と違って、配線工事などがないのが特徴です。
他と比べて1番良いのが”深夜出勤がないこと”ですね。
個人の住宅が対象になることがほとんどなので、深夜に出勤することはまずありません。また、電気工事士としての極端な専門性を必要としないところも特徴の1つです。
ただし、エアコンが重たい(30kg~40kg)ため、配送含め作業に少し苦労することがありります。
つらい仕事
1番体力を要するのは、「屋外・屋内の配線工事」です。
一般的な電気屋さんのお仕事は一般住宅(低圧)の配線工事ですので、そのようなお仕事あれば、特に問題はありません。
厳しいのは、大きな建物(ビル・病院)などの工事を行っている時です。基本的にそういった設備は、数ヶ月単位での作業になります。
建物自体も完成しているわけではないので、足下が悪いことが多いです。設備に傷の1つでも付けたらめっちゃ怒られますし、危険度が他と比べて高いです。
後は、電柱での作業ですね。
最近では、高所作業車を使う機会が増えてきましたが、自分で電柱の上の方まで昇降して作業することがあります。
電柱は先端になると細くなるのもあって凄く揺れます。体力的にはもちろんですが、高所恐怖症でなくとも恐怖を感じる怖さです。
加えて、現場によっては”深夜作業”もあります。
給料はその分高くなりますが、仕事は結構ハードです。この分野に就職・転職を考えているのであれば、求人票と仕事の内容を入念にチェックしておきましょう。
補足:ビル管理は就く場所で厳しさが変わる
ビル管理は、就く場所で厳しさが変わります。
- 病院
- テナントビル
この2つが1番わかりやすい例です。
違いをもっと具体的に見ていきましょう。
- 病院:24時間電気が必要
⇒24時間電気的に油断できない、停電が難しい - ビル:定期の時間だけ電気が必要
⇒不使用の時は事故が起きにくい、停電時間を選べる
これが2つの建物の大きな違いです。
精神的に気が楽なのは圧倒的に後者です。病院の場合は、停電するにしても停電時間や作業時間がかなりシビアになります。24時間電気的に油断できないのもかなり消耗しますね。
ビル管理を希望している方は、管理先を慎重に選ぶようにしてくださいね。
入社先が厳しかった時は経験を積んで転職しよう
電気工事士の中にもブラック企業はあります。
ブラック企業はどの業界でも存在しますが、電気業界にも存在します。月70時間~100時間超えの会社も中には紛れ込んでいます。
残念ながら事実です。
そういった企業は、あなたのことを”作業者”ではなく”道具”としか見ていません。現場を知らない上層部の企業は、こういった傾向が多い印象です。
そういった際には、迷わず転職してください。
電気工事士の需要は増加し続けています。1つの企業に留まるというのは、あまり考えなくてOKです。
電気業界では”学歴”より”経験と資格”です。
資格と経験さえあれば割と仕事は見つかるので、もしブラック企業に入ってしまった場合はさっさと転職先を見つけた方が賢明です。でなければ自分の身が持ちません。
▷▷関連:電気工事士に強い転職サイト3選
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補足:電気工事士の需要は毎年増加している
電気工事士は、時々厳しいと感じる会社もあります。
ただ、補足として「電気工事士の需要はこれから先も増え続けるため、長く続く仕事」というのも事実です。
それには3つの理由があります。
- 電気設備の増加
- 人手不足
- 省エネの推進
パパパッと見ていきましょう。
電気設備の増加
例年、電気設備は増加しています。
- 東京オリンピック
- 大阪万博
特に、こういった大きなイベントが開催されることにより、建物の建て替えや設置が頻繁に行われています。
そういった際の工事には、電気工事士が必須です。
日本人+海外選手が集まるため、ホテルの設立や鉄道工事なども急ピッチで工事しているのが現状です。付け加えて、建物には、メンテナンスが必要となってくるので管理しなければいけません。
これ以外にも、田舎でもどこでも電気設備は増加しています。
建物ができたら、セットで電気設備も必要になってくるので、電圧の大きさにかかわらず電気工事士は必須ですよね。
つまり、需要は今もこれからも絶えないということになります。
人手不足
「2025年問題」とよく言われたりします。
「団塊の世代」と呼ばれる方達が定年を迎え退職するといった問題のことです。
電気業界でもこの影響は計り知れません。
”経験を長く積んだベテランの技術者”を失うことになるため、会社としては大ダメージになります。
企業は、”採用人数”を増やすことでこの問題を解消しようとしています。人手不足は前々から見込まれており、これから先も考えなければいけない問題です。
結果として「未経験者でも就職・転職先が見つかりやすい」といったことに繋がっています。求人票を探せば、意外と多くの企業が見つかるはずです。
省エネの推進
今の時代、”省エネ化”が進んでいます。
- 電力の自由化
- オール電化
- 太陽光発電
- 再生可能エネルギーによる発電
こういった分野が注目を集めていますね。
特に、太陽光発電なんかは「企業」だけでなく「一般住宅」での設置も増えてきました。こういった設置工事は、電気工事士の仕事です。
企業などの大きな電気設備だけでなく、一般住宅のような小規模な電気設備での技術も進歩してきているため、電気工事士の需要は幅の広いところまで増え続けているということになります。
電気工事士は、まだまだ募集中というわけですね。