電気主任技術者について、情報を正確に把握している人は多くいません。
本記事では、こういった疑問を解決します。
電気主任技術者は周囲の人間で認知している人が限りなく少ない仕事ですが、需要が多く安定した仕事です。電験と呼ばれる試験の難易度が高いため、試験についての情報は必ず集めておきましょう。
上記を深掘りして解説します。
電気主任技術者への就職、転職を検討している方には必見の記事です。
本記事の内容
- 電気主任技術者とは?
- 電気主任技術者と電気工事士の違い
- 電験の資格難易度について
上記の3本立てで解説します。
電気主任技術者の将来性や需要についても丁寧にご紹介します。
さっそく、見ていきましょう。
本記事の信頼性

本記事を書いている僕は、電気会社経験済みのブログ歴2年です。
電気の資格を複数取得しており、案件を50件以上受注しています。
1.電気主任技術者の設置を義務づける法律

『さっきから電気主任技術者を連呼しているけど何でそんなに必要なの?』
『そこに法律があるから』です。登山家みたいなこと言っていますが本当の話です。
電気について定めている法律に「電気事業法」と呼ばれているものがあります。(そんな法律があるんだ感覚でOKです)
その法律の一部では、『電気主任技術者の設置』についてこのように記しています。
電気事業法第43条
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。
引用:電気事業法 第43条
※赤字は管理人が色付けしました。
頭が痛くなる人向けに要点を整理すると、
- 事業用電気工作物には保安の監督者が必要
- 保安の監督者とは『電気主任技術者』のこと
- 電気主任技術者=主任技術者免状の交付を受けている者
というわけです。つまり、
事業用電気工作物の保安の監督が電気主任技術者の役割になります。
これが『電気主任技術者ってそもそも何故必要なのか?』に対する回答です。
電気工作物とは『電気を使用するために設置する工作物』のことを言います。
電気事業法第2条第18号
電気工作物(でんきこうさくぶつ)とは、発電・変電・送電・配電または電気使用のために設置する機械・器具・ダム・水路・貯水池・電線路その他の工作物である(船舶・車両または航空機等に設置されるもので他の電気的設備に電気を供給するためのものでないもの、電圧30 V未満の電気的設備であって電圧30 V以上の電気的設備と電気的に接続されていないもの等は除く。
引用:Wikipedia
電気工作物の種類については下図のとおりです。

このうち、電気主任技術者の設置が義務づけられているのは、事業用電気工作物(枝分かれしているものを含める)になります。
『一般用電気工作物を除いては電気主任技術者の設置が義務づけられている』という事実が重要なので覚えておいてくださいね!
2.電気主任技術者と電気工事士との違い

電気工事士と電気主任技術者は『反対の仕事』をしています。
それぞれの違いについてまとめたので次の比較表を見てください。

- 電気設備の施工・工事
- 保守・点検ができない※
- 屋内の配線工事
- 送配電線の配線工事
- 空調設備の点検
- 電気屋さん

- 電気設備の保守・管理
- 施工・工事ができない※
- 新規設備の竣工検査
- 既設設備の定期点検
※双方、資格取得後に実務経験を積むことで従事は可能です。イメージを掴むための参考程度にしていただければ幸いです。企業によっては徹底しているところもあります。
要点をもっと簡潔に整理すると
- 電気工事士:電気設備の施工・工事がメイン
- 電気主任技術者:電気設備の保守・管理がメイン
こういった違いがあります。
一見、資格も名前の雰囲気も似たような感じで同じように思える職業でも、仕事の内容は全然違います。
2つの職業は時々同じ現場で作業する
電気工事士と電気主任技術者は、普段違う現場で仕事をすることがほとんどですが、状況に応じて同じ現場で作業することがあります。
そういった場合は次のようにして行われます。
実際の現場で行われている手順を表すと以下の通りです。
- 電気工事士が電気設備の配線を完了させる。
- 電気主任技術者が検査を行う。
- 送電完了!
- 電気主任技術者は定期的に点検。保守・管理を行う。
- 不良なところがあれば電気工事士が修理する。
文字で見ると簡単に説明されていますが、実際の現場では両者の連携がものすっごく重要になってきます。
作業時間で見ても数時間から数日、長いもので数週間にわけて行われるケースもあります。
つまり、『どっちが上でどっちが下』といったものは無くて『どちらも必要不可欠な存在』なんだということです。
施工のプロと保安のプロが手を取り合っているからこそ電気が支えられています。
体力的に優しいのは電気主任技術者
これはぶっちゃけた話ですが、
電気工事士よりも電気主任技術者の方が体力的に楽です。
『電気工事士』にも色々と種類があるため、一概にすべてと言うわけではありません。皆さんがよくお見かけする『電柱の上で作業をしている人』たちと比較しての話です。
ただ、電気主任技術者にも共通して大変なところはあります。
お客さんによっては点検時間を深夜に合わせないといけない部分もあるため、時々深夜作業を含むこともあります。休日出勤にしても然りです。
一方で『毎日が力仕事の連続』というわけではありません。『コミュニケーション能力』は必要になってきますが筋力はめっちゃ必要というわけではないです。
試験器の持ち運びなんかに多少筋力は必要ですが『筋力に120%自信のない』管理人でも普通にやっていけました。(管理人は運動部歴も筋トレの経験もありません。)
特に日頃行う『月次点検』と呼ばれるものは、まったく力を必要としません。
はっきり言ってしまえば楽です。
力に関しては意外となんとかなるので安心してください。
3.電気主任技術者の資格難易度が高い

電気主任技術者になるには『第三種電気主任技術者試験』、
通称「電験三種」と呼ばれる試験に合格する必要があります。
この電験三種こそが多くの人間を唸らせている黒幕です。
皆さんにとってショッキングなことをお伝えしなければなりませんがこの資格は今すぐ合格出来るものではありません。
僕自身も3年かけて取得しました。
次のグラフを見てください。

これは、電気の資格で有名な
- 電工二種(第二種電気工事士試験)
- 電工一種(第一種電気工事士試験)
- 電験三種(第3種電気主任技術者試験)
この3つの試験の過去10年間の合格率をグラフに表したものです。
グラフを見て分かるとおり、
電工二種の合格率が約50%,電工一種の合格率が約30%あるのに対し、電験三種の合格率が毎年約9%しかないことが分かります。
100人受験してたったの9人しか合格できない試験なのです。
合格が不可能なわけではない
このグラフだけを見てみると『凄く難しいじゃん。無理!』となるかも知れません。
でも、諦めないでください。この9%という数字には
- 一発合格者
- 科目合格からの合格者
この2種類の合格者が含まれています。
電験三種には『科目合格制度』というものがあるため、1年での合格は厳しくても2~3年で合格することは十分に可能です。
1年で4科目は難しくても1or2科目だけなら合格できそうな気がしてきませんか?
挑戦してみる価値は十分にある
『電験三種が難しいなら電気主任技術者にならなくて良いんじゃないか?』
確かに電験三種は難しい資格ですし、電気主任技術者以外にも電気の職業はたくさんあります。しかし、その中で安定している職業は数えきれるほどしかありません。
それに加えて電気業界は全体的に人手不足の傾向にあります。
その中で電験三種の取得者のなるとかなり人数が少ないので資格を取得するだけで自分の価値は一気に上がります。
求人サイトに登録しておけば求人のオファーが格段に増えますし、就職・転職するにしても『未経験者でも』比較的簡単に会社が見つかるようになります。
難易度が高い資格ですが挑戦してみる価値は十分にあります。
今からでも遅くありません。将来的なことを考えて、”今から”絶対に挑戦するべきです。
https://denkou-goukaku.com/syunin-kyuuzin/
4.電気主任技術者の需要は増加する

少なくとも今後10年間は電気主任技術者の需要は増加していきます。
というのも、先ほど説明したとおり電気主任技術者には、設置を義務づける法律があるため職を失うことがありません。
それどころか、
- 人手不足
- 東京オリンピック
- 電気設備の増加
これら3つの要因も含めると、需要は現在進行形で増加しています。
都市部以外に関しても同様で、電験三種を所有している人物の求人というのは探せば山ほど見つかります。
この先10年は安定している職業
設置を義務づける法律がある以上、職をいきなり失うことはありません。
今日本では、電気とそれ以外の職業を含めて『AI技術』が急速に普及しています。
それに応じた”10年後”に『残る仕事』『無くなる仕事』が話題として取り上げられていることをご存じでしょうか?
結論からお話しすると、電気主任技術者や電気工事士は、今後10年以上なくなることはない職業に含まれています。
大手電力会社は、10年・20年後無くなる仕事の方に含まれています。『電力の自由化』『送配電分離』と呼ばれるものが普及していく可能性が高いためです。
これら2つの職業が無くならない理由は簡単で『人間に付加価値がある』ためです。
AI技術がいかに普及しようが精密な試験、工事なんかは人間でないとできません。
今や火・水と同じレベルで溶け込んでいる電気をいきなり出てきた技術に移行するって相当大変なことになります。
そのため今後10年・20年は今の形態が変化することはないので職としては数少ない安定した職業と言うことが出来ます。
- 法律が改正されて電気主任技術者の設置義務が無くなること
- 全ての管理を任せても良いくらいに精密な点検・試験ができるようになること
この2つをクリアしたときは『電気主任技術者がなくなる』可能性があります。
100年後くらいになりそうですね!!
今の職業が嫌なら前向きに取り組んでいるべき

もし、これを読んでいるあなたが『今の職業が嫌だ。けど、電気の職業で何が良いのが分からない』と悩んでいるなら前向きに取り組んでみるべきです。
確かに、電気主任技術者の会社すべてがホワイトというわけではありません。正直言ってグレーなところも多くあります。
それでも今の会社よりかは絶対に楽になりますし、何よりこの職業には将来性があります。
職に就いた後、実務経験を4年間積んだ後に更に大企業に電気主任技術者として転職した人も僕の身の回りでは少なくありません。
- 安定している
- 求人が見つかりやすい
この2つの特徴を上手く活用さえすれば、絶対に今よりも生活は良くなります。
『こんな時間まで』会社で仕事をしているなら変える1歩を踏み出せば数年後にはあなたはブラック企業から脱出している可能性があります。
しかし、そのまま何もせずにいると来年も数十年後もあなたはブラック企業に勤めることになります。付け加えて絞るだけ絞られて職を失うなんてこともあり得ます。
今後の将来のことを考えるなら電験三種だけでも絶対に取得しておきましょう!!
5.まとめ
- 電気主任技術者には設置を義務づける法律がある
- 電気主任技術者になるための資格取得が大変
- 電気主任技術者の需要は今後も増加する
- 電気主任技術者は10年先も安定した職業
- 悩んでいるなら前向きに取り組んでよし!
何度も言いますが、資格を取得するのは簡単なものではありません。
僕自身は資格を取得するのに3年の時間を費やしましたし、他のサイトの方のように1年で合格するとなると相当な努力をされています。
ただ全てに共通しているのが『真似できる努力』だということです。
『難しいから無理だ』と諦めるのではなく、ここでは”挑戦する勇気”必ず持ってください。
