電気主任技術者には、試験合格とは別に認定で取得するという方法があります。ある一定の条件をクリアすれば試験に合格しなくても資格取得できるということです。
本記事では、上記の疑問を解決します。
認定取得するには2つの条件をクリアする必要があります。難易度は簡単そうですが実際には超ハードで試験合格を目指した方が確実です。2つの条件をクリアした人だけが認定取得してください。あ、あと認定だからって気にする必要はありませんよ。
上記がこの記事の結論です。
これを深掘りして解説していきます。
本記事の内容
- 電気主任技術者を認定取得する方法
- 認定取得の申し込みについて
- 認定取得できるなら劣等感を抱く必要なし
上記の3本立てです。「認定取得は簡単そうで簡単にできるものではない」ということだけご理解いただけたらOKです。
サクッと見ていきましょう。
本記事の信頼性
本記事を書いている僕は、電気資格を複数取得済みです。
ブログ歴2年で、電気資格に関する案件を50件以上受注しています。
電気主任技術者を認定取得する方法
残念ですが、認定取得は簡単ではありません。
2つの条件をクリアして始めて認定で取得することができます。
悲報1:認定取得は一部限定の裏技です
悲報その1です。
認定申請ができる方の特徴の1つに”学歴”があります。
電気系の学校を卒業していれば条件クリアですが、それ以外の学校を卒業している場合は、この時点でアウトです。試験合格にシフトしましょう。
各電気主任技術者の条件を以下に記載しておきます。
※「産業保安監督部が定める認定校」は、こちらをクリックすると確認できます。
第3種電気主任技術者
第3種電気主任技術者【電験三種】の場合、認定取得できる条件は次のとおりです。
- 工業高校・専門学校・短大・大学(認定校)で単位を取得していること
- 第3種電気主任技術者の指導のもと、3年以上(短大2年・大学1年)の実務経験を有していること
第2種電気主任技術者
第2種電気主任技術者【電験二種】の場合、認定取得できる条件は次のとおりです。
- 専門学校・短大・大学(認定校)で単位を取得していること or 電験三種に合格していること
- 第2種電気主任技術者の指導のもと、5年以上の実務経験を有していること
第1種電気主任技術者
第1種電気主任技術者【電験一種】の場合、認定取得できる条件は次のとおりです。
- 大学(認定校)で単位を取得していること or 電験二種に合格していること
- 第1種電気主任技術者の指導のもと、5年以上の実務経験を有していること
悲報2:実務経験必須なので最低3年はかかります
悲報その2。これが超ハードです。
実務経験は、電気主任技術者の指揮・監視のもと従事する必要があります。
つまり、ただ働くだけではダメで『電気主任技術者のいる会社』で働かなければ、実務経験を積むことができないということです。
加えて、会社に入ったとしても電気主任技術者のもとで働ける部署に就けるかと問われれば、正直微妙です。仮に就けたとしても実務経験が3年以上必要になります。
3年って…。思ったよりも長いですね。
この期間で合格した方がメリットは多いです。
ビル管理のような会社や電気保安協会みたいな会社であれば、実務経験に困ることはないですが、最近は試験合格を重視して認定での取得を会社側がNGしている部署もあるとのことです。
認定取得するための条件をクリアするのは、超ハードな難易度ですね。
【結論】認定取得はベター。試験合格がベスト
最終の結論です。
認定取得は”ベター”、試験合格が”ベスト”といった考え方が良いでしょう。
『試験に合格するよりも認定取得する方が楽』といった考えは正直違います。
認定取得は中々審査に通りにくいといったデメリットがあります。加えて条件もハードなため、試験合格よりも時間がかかりますよ。試験合格に対して気が引けるのも悲しいですが事実です。
認定取得を考えて良いのは「上記の条件をクリアした一部の人」だけです。それだけ認定取得は人を選びます。
若い時に試験合格したのち、実務経験を積んで電気主任技術者として一人前になっていくのが理想的です。
まずは、試験合格を目指してみてください。
それでもって、3年以上の実務経験を完了するくらいには挑んでみましょう。恐らく、”合格している”か”諦めている”かのどっちかの答えが出ているはずです。
認定取得の申し込みについて
ここからは、認定申請できる一部の方向けになります。
すぐに認定申請できない方は「こんな方法もあるんだ」くらいの感覚で記事を読み進めていただいてOKです。
- 認定申請を申し込む場所
- 認定申請に必要な書類
- 産業保安監督部にて行う手続き
これが認定申請する際に必要な3項目です。
簡単にチェックしていきましょう。
認定申請を申し込む場所
電気主任技術者の認定を申し込む場所は、全国にある『産業保安監督部』です。
- 申込み方法
- 必要な書類
- 書類書式のダウンロード
公式ページで上記を確認することができます。
とりあえず、該当地域の産業保安監督部のサイトをチェックしましょう。
※クリックすると産業保安監督部のページが開きます。
北海道産業保安監督部
- 認定申請の窓口をチェックする【北海道産業保安監督部】
関東東北産業保安監督部 東北支部
- 認定申請の窓口をチェックする【関東東北産業保安監督部 東北支部】
関東東北産業保安監督部 関東支部
- 認定申請の窓口をチェックする【関東東北産業保安監督部】
中部近畿産業保安監督部 中部支部
- 認定申請の窓口をチェックする【中部近畿産業保安監督部】
中部近畿産業保安監督部 近畿支部
- 認定申請の窓口をチェックする【中部近畿産業保安監督部 近畿支部】
中国四国産業保安監督部 中国支部
- 認定申請の窓口をチェックする【中国四国産業保安監督部】
中国四国産業保安監督部 四国支部
- 認定申請の窓口をチェックする【中国四国産業保安監督部 四国支部】
九州産業保安監督部
- 認定申請の窓口をチェックする【九州産業保安監督部】
認定取得に必要な書類
認定申請に必要な書類は次の4つです。
- 認定校の卒業証書
- 単位取得証明書(単位の取得を証明できるもの)
- 実務経歴証明書
- 現住所の分かるもの(住民票・戸籍抄本)※免許証のコピー×
先ほど、確認した産業保安監督部の窓口にこれらの書類を提出します。
2つの企業に渡って実務経験を修了した場合は、2つの企業の実務経歴証明書が必要となりますので、注意してくださいね。
また、派遣社員であれば”派遣先”と”派遣元”の書類、自営業の方であれば”契約書の写し”や”作業の工程表”でも実務経歴証明書になります。
不明な点は、産業保安監督部の窓口で確認できるので、問い合わせてみてください。
産業保安監督部の手続きが完了後、免状交付
以下が手続きの流れとなります。
認定は認定で大変な部分が多くあるため、ポイントをチェックしてください。
- 必要な書類をすべて揃える
- 窓口に電話して認定審査の予約を取る
- 書類を確認しながら手続きを進める(1回で受理されづらい)
- 書類の内容について質疑応答を行う
- 認定後、免状申請を行い資格を取得する
上記が手続きの概要です。
保安監督部側としても十分に確認をする必要があるため、速攻で通過することはほとんどありません。
実務経歴証明書をすぐに用意できる人であれば、すぐに認定申請をすることができるので、1回申請してみてくださいね。
実務経験を完了していない人は、もうすぐ完了する人以外は試験合格を目指しましょう。
認定取得できるなら劣等感を抱く必要なし
認定取得は、試験合格に対して気が引ける部分があります。
”試験合格していない”ため、知識的な部分に関して劣等感を感じてしまうわけです。
ただ、そんなものは気にしなくてOKです。
電験三種を”持っている”か”持っていない”かの世界なので、どうやって取得したかなんて興味を持つ人は思った以上に少ないですよ。
電験三種の知識が仕事に活きるのは30%だけ
早速ですが、これは実体験です。
電験三種を実力で取得したからといって全部が仕事に活きるとは限りません。
法規と理論に関しては凄く役に立ちます。
それ以外の機械と電力については、非常用の発電機を操作する時と負荷の電流を計算するときぐらいしか活かせた感じがしません。
ぶっちゃけ忘れています。
時々、知識を活かして計算する時はありますけどね。
すぐに引き出せるという知識というよりかは、経験を積んでいくうちに自然と覚えていった感じです。
「電験三種を実力で取得したから凄い」といった考えは50点ですね。10年後に同じ試験を解いたら解けなくなっている人がほとんどですから。
実践での経験は試験で得られる知識よりも大切
認定取得の方が自信を持って良い1番の理由です。
現場職である電気主任技術者にとって大事なのは、”机上の知識”よりも”現場での経験”です。
認定で取得するために経験した現場での知識は、試験勉強では絶対に身につくことのないものです。加えて、試験合格しても実務経験は必要です。
”電験三種に試験合格している”ことがすべてじゃないです。
『コミュニケーション能力』であったり『現場での経験』が合わさって仕事が成り立っているので、”主任技術者”としてレベルアップする方法はいくらでもあります。
「自分が認定だ」と自分を卑下しているのは、今日をもって終了にしましょう。