電気主任技術者の分岐点の1つが『独立』です。
”独立したら年収が上がる”と言われていますが、それは本当でしょうか?
結論から言えば、答えは”Yes”です。
ただし、これは成功したときの話で難易度は”超絶ハード”です。
独立は、資格と経験があるから成功するものではありません。企業との競争に勝つことが前提なので営業力も必須です。あ、あと初期費用がバカにならないので生半可な覚悟じゃ絶対に独立したらダメですよ。
以上がこの記事の結論です。
”このまま終了”って訳にはいかないので、上記を深掘りしていきます。
電気主任技術者は独立で”成功”したら年収は上がる
独立しただけでは年収は上がりません。
営業して競争に勝ち、顧客を増やしていくことで年収が安定します。
ぶっちゃけ難易度は超ハードですよ。
安定だけ取るのであれば、独立より転職の方がオススメです。
悲報1:独立者の平均年収は約600万円
悲報その1です。
独立した人の平均年収は約600万円と言われています。おおよそ、第1種電気主任技術者の年収と同じですね。
ただ、年収にも幅があるため、全員が年収600万円になるわけではありません。独立で難しいのは『現状を安定させる』ことですから。
年収1,000万を狙うなら電験二種 or 一種が必須
ちなみに、年収1,000万円を狙うなら少なくとも電験二種以上は必須です。電験三種では正直言って厳しいです。
理由は凄く単純で『競争する企業が多すぎるから』です。
独立で成功させるには、勝てる見込みのある分野で戦うのがセオリーなので、電験三種だけではそれが実現することができません。
逆に成功 and 安定させることができれば、年収1,000万円はクリアできます。ただ、そのためにはやっぱり電験一種まで欲しいのが正直なところです。
あと、実務経験を満了させることもお忘れなくですよ。
悲報2:競争が激しく営業力が必須
ここまで何度も登場しましたが、独立で1番難しいのがこれです。
企業間との競争に勝つため、営業力が必須となります。
電気の市場を見た際に、
- 電気設備の管理
- ビルメンテナンス
これらを生業としている企業はおおよそ7万社以上存在しています。
独立するとなると、これらの企業との競争になります。
ネームバリューも実績も無い中でこれらの企業との戦いになるのはかなりハードになるため、生半可な覚悟と実力で独立は絶対にしてはダメですよ。
電気主任技術者の魅力は安定している職業であること
電気主任技術者の魅力は”年収”ではなく”安定”です。
- 年収が高くても10年後には無くなる仕事
- 年収は平均的で10年以上は続く仕事
電気主任技術者は、後者の仕事に位置します。
ただ、平均的と言っても日本人の平均年収よりは高いですし、高卒や大卒などの学歴が問われることがありません。
資格と経験がすべてですし、”人間に付加価値がある仕事”なので、AI技術がこの先普及してくる社会でも生き残ることのできる仕事です。
安定して年収を上げたいなら独立する必要はありません。
転職した方が、独立よりはるかに安全です。
今の時代だと”副業”して収入源を1つ増やしてみるのも一つの方法ですね!
電気主任技術者の平均年収
就職した場合の年収を見ていきましょう。
結果からお話しすると、電験三種を取得した場合でも平均年収は約440万円です。日本人の平均年収が約400万円なので上回っていることが分かりますね。
第1種電気主任技術者
第1種電気主任技術者の平均年収は約600万円です。
このレベルになると、企業に属するというよりかは選任で電気主任技術者をやっている人もいます。
また、新卒で電験一種を取得している人はまずいないので求人は「実務経験」も重視しています。そのため”技術”と”経験”が第1種電気主任技術者には重要です。
日本人の平均年収を約200万円上回っていますし、電気主任技術者の中では間違いなく1番安定しますね。このレベルになると職を失うことはまずありませんし。
第2種電気主任技術者
第2種電気主任技術者の平均年収は約520万円です。
大型ビルや病院などの選任電気主任技術者として働いている方なんかをよく見かけますね。
日本人の平均年収を100万円以上上回っていますし、安定もしています。
また、最近では太陽光発電が主流となってきているため『メガソーラー発電』と呼ばれる大型の太陽光発電の電気主任技術者なんかも増えてきました。
電験一種じゃなく電験二種を取得しておくだけでも、企業間からの引き合いが強く、求人が絶えることはまず無くなりますね。
第3種電気主任技術者
1番身近な電気主任技術者です。
平均年収は約440万円と日本人の平均年収よりも40万円近く上回っています。
独立を考えないのであれば、この資格だけで十分食べていけます。
電気設備は近年増加しているため、仕事が無くなることはまずありませんし、7~8割の電気設備はこの資格で点検することができるので需要度で言えば1番です。
ただ、後に紹介しますが、独立するには厳しいです。
少なくとも、電験二種以上の資格と経験を積んでから独立しましょう。
電気主任技術者として独立するための条件
電気主任技術者として独立するには3つの条件があります。
この3つの条件をクリアしてからでないと、99.99%失敗します。
- その1:電気主任技術者免状を取得していること
- その2:実務経験を満了していること
- その3:必要な機材を揃えていること
サクッとみていきましょう。
その1:電気主任技術者免状を取得していること
大前提です。
独立するには、それぞれの免状を取得していなければいけません。
- 第1種電気主任技術者:電験一種
- 第2種電気主任技術者:電験二種
- 第3種電気主任技術者:電験三種
1番難易度の低い電験三種でも難しいです。
ただ、独立するには最低でも電験二種を取得しておかないと戦えません。
その2:実務経験を満了していること
実務経験とは、”電気工作物の工事・維持、運用に関する実務に従事した期間”のことを言います。これを満了していないと独立どころか1人前にすらなれません。
- 第1種電気主任技術者免状の保有者:3年以上
- 第2種電気主任技術者免状の保有者:4年以上
- 第3種電気主任技術者免状の保有者:5年以上
満了すると、外部委託を請け負うことができるようになります。
独立は外部委託を使って仕事を増やしていくので実務経験を満了してから独立するようにしましょう。
その3:必要な機材を揃えていること
これが1番お金がかかります。
メーカーによって性能や価格は異なりますが、独立するための初期費用として約50万円は覚悟しておきましょう。あくまで機材だけの初期費用です。
- クランプ形電流計
- 電圧計
- 絶縁抵抗計
- 接地抵抗計
- 高圧検電器
- 騒音計
- 回転計
- 振動計
- 低電圧機
ただ、初期費用はこれだけではありません。
- 維持・管理費
- 人件費
- オフィス代
機材費に加えて、これらのことも考えなくてはいけないため、正直言って独立のための初期費用はバカにならないレベルです。実務経験と一緒に貯金もしていかないとですね。
【結論】電験取得後は就職で実務経験を積むべし!
以上で最終結論です。
電験を取得した後は「実務経験を積むために就職すること」をオススメします。
独立はその後ですね。
- 電験三種取得後:電験二種 or 転職
- 電験二種取得後:電験一種 or 転職 or 独立
- 電験一種取得後:転職 or 独立
大体これが王道の選択肢です。
どれを選ぶにしても”5年間”は必要になるため、働きながらゆっくり考えてみてください。